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わかぎ ゑふ 著
講談社 出版
大阪弁のことばが辞書のように並べられ、対応する標準語訳が付されたあと、エッセイ形式でそのことばのニュアンスが説明されています。
なかには「たしかにそういうニュアンスだ、うまく訳しているなあ」と思うものもあります。たとえば、以下です。
ケチやない! → よく見ましょう
買(こ)うてもええけど…… → まだなにか付けてくれる?
行っとこか → そうしておこうか
それはないわ → きっちりしてください/いまさらひどいわ
ワヤですわ → ダメです
東京に暮らすようになって、大阪と違うと感じることがしばしばあるのですが、どう違うのかはっきりわからないことが意外と多いのです。違和感を感じたことを思い起こしながら、この本を読むと首をぶんぶん振って納得する部分が多いのに驚きます。
日々の生活に一番密着している仕事の場面で使うことばは、ドキリとするくらいです。たとえば、「あきまへんて」の欄。これには、「いまのうちにどうにかしましょう」という標準語訳があてられています。
関西では、部下が上司にダメ出しするのも一般的です。(もちろん、上司が部下にダメ出しするのは東西の共通でしょうけれど。)上司の計画に漏れがあるときも、リスクを過小評価しているときも、「あきませんて」とか「そら、あかんでしょう」とか、突っ込んでいました。いまは仕事では標準語を使っているので、「それじゃ危ないでしょう」とか、その都度状況に合わせてことばを選ぶようにしていますが、迷うことも多く(関東出身の方々の)他人の会話を真似しようと思っていても、なかなかチャンスがありません。やはり、この本にあるとおり関東では部下が上司に突っ込む度合いが関西と関東では違うのだと思います。関西では、いくらでも修正や立て直しがきくときに「あきませんて」と言って、上司と部下双方が動くような気がします。だから「いまのうちにどうにかしましょう」という訳はよくできていると感心してしまいます。
ただ、仕事というのは社風も大きく影響するので、関西と関東で違う会社で働いているわたしとしては自信がなかったのですが、この本を読んで、やっぱり、と感じました。
別に関東から出ていくつもりはない、という方にとっても、大阪人と仕事をなさる機会があれば、読んでるあいだ笑えて、多少参考にもなる、という本だと思います。