2015年04月24日

「頭のうちどころが悪かった熊の話」

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安東 みきえ 著
新潮社 出版

 ふだんは童話を読むことなどないのですが、表紙のクマのたんこぶに笑ってしまったので、手にとりました。

 以下が収められています。

‐頭のうちどころが悪かった熊の話
‐いただきます
‐ヘビの恩返し
‐ないものねだりのカラス
‐池の中の王様
‐りっぱな牡鹿
‐お客さまはお月さま

 おとなが読むほどの内容ではない気がします。はっとする場面がないとでもいうのでしょうか。人間はほかの生き物の命を食べて生きている(「いただきます」)とか、未来や過去だけでなくいまを大切にすべきだ(「ヘビの恩返し」)とか、隣の芝生は青く見える(「ないものねだりのカラス」)とか、当たり前のことが当たり前に書かれていて、たしかにそのとおり、そう思って終わりでした。

 童話ってこんなにつまらないものだったかしら、と思ってしまったのは、童心を失ったからかもしれません。
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2015年04月23日

「国王陛下の新人スパイ」

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スーザン・イーリア・マクニール (Susan Elia MacNeal) 著
圷 香織 訳
東京創元社 出版

 主人公マギーは、前作「エリザベス王女の家庭教師」で明かされた出生の秘密ゆえに、とうとうスパイとしてドイツに渡ることになりました。しかも時代は、あのヒットラーが非道な殺戮を繰り広げていた頃です。

 マギーに与えられた任務は、ある男性スパイに必要物資を渡し、さらにそのスパイの恋人役として出席したパーティで、主催者の書斎に盗聴器を取り付けるというもの。4日間で終わるはずだった任務なのですが、そこは、臨機応変というか、チャレンジ精神旺盛というか、そんなマギーの性格が眼前の大きな人参を逃すのを許さなかった……そんなところです。

 敵国で孤立状態にあるマギーは、前作以上にハラハラ・ドキドキさせてくれます。そして終盤では、マギーもとうとう正真正銘のスパイなんだと思わせられるアクシデントを迎え、しかもプライベート面でも大きな転機を迎え、シリーズ作品としてのこれからが期待できる終わり方をしています。

 シリーズ第4作となる次の作品も刊行が決まっているそうです。今作が随分とスリリングな展開だったので、次もマギーにはスパイとして活躍してもらいたいものですが、今作のエンディングではマギーはスパイを養成する教官になることになっています。
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2015年04月03日

「優雅なのかどうか、わからない」

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松家 仁之 著
マガジンハウス 出版

 主人公の岡田匡は、40代後半でひとり暮らし。会社関係の人に『優雅』な暮らしと言われても本人はピンときていないようで、このタイトルになっています。

 大家の諒解をとりつけつつ古い家を自分の好みにあわせてリノベーションをしながらひとり暮らしているのは、優雅に見えます。周囲からは優雅と評されるその暮らしに落ち着くことになったあれこれを思い出しつつ、主人公はそれを再び手放すことになる決断を選びます。やや周囲の事情に流された部分があることは否めませんが、それでもその優雅な暮らしにたいした執着がなかったことは充分に伝わってきます。

 目標とまではいわないまでも何かしらの方向性をもって決断するということにあまり縁のないこの主人公のことをわたしは、なんとなく理解できる気がしました。
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2015年04月02日

「バネ足ジャックと時空の罠」

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マーク・ホダー (Mark Hodder) 著
金子 司 訳
東京創元社 出版

 時代は19世紀、場所はロンドン。わたしたちに馴染みのある舞台設定のはずなのに、そこかしこに見慣れないものが登場します。ひとつは、蒸気などの動力を利用した機械類。1人乗りヘリコプターのような飛行手段が警察などで活用されていたりします。もうひとつは、ある特定の資質だけを強化させた動物たち。しゃべるインコは、託されたメッセージ内容を1度聞いただけで覚えて伝書鳩のようにメッセンジャーを務めています。

 そんなことになった原因は、結末で詳らかにされるのですが、その原因と密接に関係する事件を探る密偵の任を首相からじきじきに受けたサー・リチャード・フランシス・バートンがこの物語の主人公です。この人物は、実在した探検家なのですが、そのほかにも歴史上記録が残っている人物が多数登場しますが、それぞれみな残された記録と似ているような似ていないような判別しがたい様子で登場します。

 こういう細かな設定を楽しめる作品ではありますが、歴史が変えられたからくり自体はとてもシンプルで、いままでに数多発表された作品を超えるものではないと思います。そしてこういう細かな設定を楽しめるかどうかは、歴史上の人物をどれだけ知っていて、当時のロンドンをどれだけ思い描けるかによると思います。わたしはあまりそのギャップを楽しめませんでした。
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