2015年05月19日

「死を歌う孤島」

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アンナ・ヤンソン (Anna Jansson) 著
久山 葉子 訳
東京創元社 出版

消えた少年」の女性刑事が再び登場します。ただ、「消えた少年」のときのように警察官として事件を捜査するわけではありません。身を隠さなければならない事情ができて、友人と一緒に孤島で開催されるキャンプに参加するのですが、そこで起こった事件に否応なしに巻きこまれてしまうという設定です。

 否応なく事件に巻きこまれるのであれば、別に刑事でなくとも良いのではないかと思ってしまいますが、そのあたりはこのシリーズらしさが出ている点かもしれません。「消えた少年」でも、女性刑事の女性としてあるいは母としての側面の描写が、ほかの警察小説に比べて多かった気がしましたが、今回は、一緒にキャンプに参加した女性の友人としての思いなども添えられていて、ひとりの警察官としての立場に終わらない内容になっています。

 そのほか、終わり方が呆気なく、物足りなさを感じたのも「消えた少年」に似ていました。犯人がわかるまでのスリリングな展開と比べると残念な気がしました。犯人がどういう思いで、またどういうかたちで計画を練って実行に移したかなどが明らかにされていれば、もっとエンディングを楽しめたと思います。
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2015年05月15日

「素晴らしきソリボ」

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パトリック・シャモワゾー (Patrick Chamoiseau) 著
関口 涼子/パトリック・オノレ 訳
河出書房新社 出版

 広辞苑で『口承文学』を引くと「記載文学の発生以前、口承によって語りつぎ歌いつがれてきた文学」とあります。語られた言葉を、ましてやリズムある歌を、紙に文字だけで残すことは不可能です。それでもその難題に果敢に挑もうとした『言葉を書き留める者』がこの小説の登場人物パトリック・シャモワゾーであり、この小説の作者でもあります。

 カリブ海に浮かぶマルティニーク島(フランスの海外県)のフォール=ド=フランスにある公園で推定年齢50歳前後の男性の死体で見つかったことを記す警察調書からこの作品は、始まります。その直後『言葉を書き留める者』は、死者がソリボ・マニフィークなる語り部、つまり言葉の達人であり、『言葉に喉を掻き裂かれて』死んだと説明します。

 ひとりの男性の死を殺人事件として対応する警察職員と『言葉に喉を掻き裂かれて』死んだ語り部の死に居合わせた人々(『言葉を書き留める者』もそのひとり)は、とても対照的です。警察は、語り部を住所不定で本名不明の男として扱いますが、『言葉を書き留める者』である作者は、語り部の魅力を雄弁に語ります。そして、口承文学を紙面で再現しようと最善を尽くします。

 その流れのなかで、失われつつある口承文学を惜しむ気持ちが自然に湧いてきて、『言葉を書き留める者』のチャレンジ精神に拍手を送りたい気持ちになりました。そして、この作品を違う言語で表現しようとした翻訳家たちにも。
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2015年05月14日

「ズレまくり! 正しすぎる法律用語」

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長嶺 超輝 著
CCCメディアハウス 出版

 法律用語辞典を探していて、偶然見つけました。法律の世界では通っている慣習や用語であっても、知らない人にとってはビックリしてしまうことが、用語辞典のように五十音順に並んでいます。

 わたしが一番驚いたのは、著者が『ゾンビ法』と名づけた、実際には運用されていない法律の条項です。

 たとえば『公証人』の項目に掲載されている公証人法では、『公証人になるための条件として、「20歳以上の日本国民」「試験に合格した後、6ヵ月以上の実地修習をしたこと」を挙げている』と書かれてあります。公証人の方々と関係ある立場の方は、驚かれるのではないでしょうか。(中高年のわたしでさえ、自分より若い公証人をお見かけした経験がありません!)

 しかしこのあとの説明で納得ができます。実は、この試験は、一度も実施されたことがなく、例外ルートとされる「裁判官・検察官・弁護士の資格があるなら、試験も実地修習もなく、公証人に任命してよい」という条文にしたがって任命されているのが実状だそうです。

 実施しない試験について定めた法律など、常識からは理解しがたい(まさしくズレています!)法律があることに、驚きました。
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2015年05月01日

「クマや充血は毎日5分で消える! 39の心がけ」

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平松 類 著
東邦出版 出版

 タイトルに「39の心がけ」とありますが、読み終えたあと39も思い出せません。やはり39というのは、覚えるには難のある量だと思います。

 思い出せるのは、まず第1に温めるべきだということ。(眼を温める『ホットアイ』は絶対実践したほうがいいという強い印象が残ります。)第2に家ではブルーライトをカットしたり、花粉をシャットアウトしたりする、眼に優しいメガネをかけたほうが良いこと。第3に眼の周囲は意外に汚れているので、お湯などで濡らした綿棒を使って、綺麗にしておくこと。このあたりでしょうか。

 とりわけホットアイは、入浴時間や昼休みなどを使って実践したいと思うほど、血流をよくする効果が広範囲に及ぶことが、わかりやすく説明されています。

 個人によって悩みは違うと思われるので、それに応じて読まれるのがいいかと思います。(39のうち印象に残る項目が違ってくると思います。)どれも実践するのはそう難しくないので、大切な眼のことだけに、実用的な指南書だと思いました。
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