2016年01月16日

「不思議なキジのサンドウィ

20160116「不思議なキジのサンドウィッチ」.png

アラン・ブラッドリー (Alan Bradley) 著
古賀 弥生 訳
東京創元社 出版

 化学が大好きな11歳の女の子フレーヴィアが探偵役をつとめるこのシリーズは、第6弾である今作が大きな転換点になっています。冒頭で、チベットで登山中に行方不明になったとされていたフレーヴィアの母エリオットの遺体が戻ってくるところから、エリオットはいったいぜんたい何者だったのかという疑問が湧いてきます。なにしろ故郷に戻るエリオットを出迎えた人々のなかには、ウィンストン・チャーチル元首相までいたのですから。

 そして例に漏れず事件が起こるのですが、さすがに今回ばかりは、フレーヴィアが犯人の手がかりを得ようと、あちこちに出没するなどという展開にはなりません。フレーヴィアの家族とその過去にスポットが当てられて物語は進むのですが、明かされた過去は、「なんとまあ」としか言いようのない驚きに満ちています。突飛すぎてついていけないほどの過去です。そういう過去があったのに、なぜこれほどフレーヴィアの一家は困窮を極めていたのか、理解に苦しみます。そのいっぽうで、前作から登場したアダム・トラデスカント・ソワビーのような謎の人物がフレーヴィアの前に現れたことの説明はつきます。

 エリオットが何者でどういう経緯で命を落としたのかが明かされた結末では、フレーヴィアを待ち受ける未来も明かされます。次作からは舞台を変えて、でもフレーヴィアの持ち味は(おそらく)変わらず、シリーズが続いていく模様です。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする