2016年01月29日

「マジシャンは騙りを破る」

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ジョン・ガスパード (John Gaspard) 著
法村 里絵 訳
東京創元社 出版

 わたし好みのコージーミステリでした。

 描写については、主役も脇役も、登場人物の個性が巧みに描きわけられていて、読んでいると自然とイメージが定まってきます。展開については、あちこちに張られた伏線をうまく回収しつつ、読者をところどころミスリードしたりして、中弛みを感じることがありませんでした。このあたりは、一般的な読者なら、それなりに高く評価する点ではないかと思います。

 そのほか、コージーミステリに対するわたしの好みに合っていて、個人的に高く評価した点は、ユーモアのセンスがあちこちに散りばめられている点、マジシャンという一風変わった職業を選んだことを除けば主人公のイーライがきわめてふつうでありながら『いい人』で共感しやすかった点、バランスがよかった点などです。最後のバランスというのは、あまりにものごとを決めつけすぎていないことを指しています。たとえば、マジシャンであるイーライが似非超能力者の種や仕掛けを看破する場面もありますが、超能力を全面的に否定しているわけでも、肯定しているわけでもありません。否定的意見も肯定的意見もバランスよくでてくるため、読んでいて居心地が悪くなりません。

 原作のほうはすでにシリーズ3作目まで出版されていて、2作目も東京創元社から刊行される予定だそうです。2作目が楽しみです。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする