2016年11月11日

「逆さの骨」

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ジム・ケリー (Jim Kelly) 著
玉木 亨 訳
東京創元社 出版

「水時計」「火焔の鎖」に続くシリーズです。主人公のフィリップ・ドライデンの妻ローラがどうなったのか気になっていたはずなのに、第三弾の出版を見逃していたらしく、友人から第三作を読んだと聞き、早速読みました。

 一番気になっていたローラですが、彼女の両親が住むイタリアに行く段取りを進めているという描写から、全快とはいえないものの、数時間ならベッドを離れられる状態まで戻っていることがうかがえます。前作で登場したCOMPASSという機会を使って、外部とメールをやりとりしたり文献を検索したり、ドライデンの調査を手伝うところまで回復していました。

 ただ、装置や看護は必要で、そうした妻をもつフィリップの負担や気持ちの変化が、今作でも巧妙に描かれていました。逃れられない現実や束縛、逃れたいと思う本音、本音を肯定できない苦しみ、そういった割り切れないものが、リアルに伝わるよう描かれていて、ミステリ以外の面でも満足できる作品です。

 暗い印象が残りがちなこのシリーズですが、今作では、自立心溢れる老齢の女性がドライデンや周辺人物の優しさに救われる部分があり、読後感は悪くありませんでした。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする