2016年11月12日

「日本の地価が3分の1になる!」

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三浦 展 著
光文社 出版

 インパクトのあるタイトルです。このタイトルの根拠となっている考え方は、老年人口(65歳以上)を生産年齢人口(20〜64歳)で割って求められる「現役世代負担率」と地価の関係です。「現役世代負担率」が大幅に上昇すれば、地価は大幅に下落し、地域によっては3分の1になる可能性もでてくるというものです。

 そう説明されると、そんなことは知らなかったと驚いてしまいそうですが、冷静に考えると両者の関係は想像がつきます。たとえばニュータウンということばであらわされる地域は、日本経済が右肩あがりで人口が都市に集中しだしたとき、都市周辺に一気に開発されました。最初は比較的お手ごろな価格で30代を中心とする世代が住み、人気が出て地価があがり、若い世代が移り住むことが難しくなって、かつて30代を中心としていた街が40年経過して70代を中心とする街になり、税収が減り、商業地域が減り、大幅に地価が下がるというシナリオです。逆に、昔から下町として知られる地域は、常に若い人の流入も流出もあり、土地が流通し、「現役世代負担率」の増加もニュータウンなどに比べると緩やかです。

 しかしこの「現役世代負担率」を正確に地域別にシミュレーションするのは極めて困難に見えます。相対的に差が発生すると、それを見て、人々の流れも変わりそうです。ただ、そのことを考慮しても敢えて地域別の具体的な数値を示したことは著者の警鐘ではないでしょうか。地価の大幅下落は実際に起こってもおかしくない話ですから。

 もうひとつ、本書では、この老年人口の定義を65歳以上から75歳以上に変えると、「現役世代負担率」が2040年でも2014年と同程度に維持できる、つまり大幅な地価の下落は起こらないという仮説も披露されています。これも65歳でのリタイアに対する警鐘でしょうか。

 読んでいると、住宅が資産形成になると当然のように思っていたころが懐かしく感じられました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする