2016年11月13日

「羊と鋼の森」

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宮下 奈都 著
文藝春秋 出版

 高い評価を受けている作品のようですが、普段本を読んでいる人がわざわざ時間を割くほどの価値がある本とは思いません。おそらく、普段本を読まない人には、こういう本がおすすめ、という意味の評価(賞)ではないでしょうか。

 ただ、わたしはまったく評価しないと、いいたいわけでもありません。百聞は一見に如かずという言い回しがありますが、その逆もあると思います。音楽というものは、何度となく読むより、実際に聴いたほうが、巧拙といった比較的客観的なことがらについても、好みといった主観的なことがらについても、わかりやすいと思います。そういう分野を敢えてテーマに選び、筆で挑んだのは、おもしろいと思います(タイトルの羊と鋼はピアノを指し、駆け出しの調律師が主人公です)。

 しかし、肝心の筆力のほうは、直截的表現が目立ち過ぎて、物足りなさを感じました。わかりやすさを求める読者、十代あるいは二十代くらいの若い読者にはおすすめできても、それ以外の人におすすめするのは少し躊躇われる作品です。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする