2017年06月08日

「浮遊霊ブラジル」

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津村 記久子 著
文藝春秋 出版

 この作家の作品を読むのは、「ミュージック・ブレス・ユー!!」以来、8年ぶり。こちらは短篇集で、以下が収められています。

−給水塔と亀
−うどん屋のジェンダー、またはコルネさん
−アイトール・ベラスコの新しい妻
−地獄
−運命
−個性
−浮遊霊ブラジル

 長篇を読んだときと違って今回は、ゆったりとした気分で読めました。作品の傾向としては、一番底にユーモラスな雰囲気があって、そのうえにちょっとした反省とか同情とか疑問とか、日常のどこにでもあるようなできごとが描かれているものが多かったと思います。

「地獄」と「浮遊霊ブラジル」は、どちらも死後の世界が描かれているのですが、悲壮感があるような、ないような、笑えるような、笑えないような、宙ぶらりんな状況が、コミカルに、でもところどころ真剣に描写されていました。

「地獄」の主人公は生前、平凡の極みといった日常を送りながら、ドラマや映画や小説やスポーツの試合などであまりに多くの刺激を消費していたために、地獄で罰を受けていました。なかでも、同情したらいいのか、笑ったらいいのか、微妙だと思った罰は、1日400ページのノルマで小説を読まされるものです。問題は、結末がわかりそうな部分は必ず、ごっそりページが破られている点です。それでも地獄で課せられた罰なので逃げだせず、結末のない小説を読み続けるのです。本が好きな人が考えそうな地獄で、思わずにやりとしてしまいました。

 こんな気晴らしになる短篇集なら、仕事の合い間に向いている気がします。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする