2017年07月16日

「えっ! この表現でそんな意味? 英語おもしろノート」

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 知ってよかったと思えた表現に次の2つがあります。

ーget the sack は、『クビになる』の意

『袋を手に入れる』のこの袋 sack は、職人が自分の道具を入れておく袋で、産業革命の初期、職人は雇われている間、自分の道具を袋に入れて雇い主に預けることになっていたそうです。つまり、その袋が職人の手に戻るときは、クビになったときということから、この表現が生まれたそうです。(反対の立場で人をクビにするときは、『give someone the sack』。)
同様に、pink slip をもらっても解雇されたことになります。こちらは、解雇通知書がピンク色だったことから、きています。なんでも給料袋に入っていたとか。

ーred tape は、 『お役所仕事』の意

 次の例文の red tape は『(形式にこだわる)お役所仕事』、『(お役所などの)面倒な手続き』『官僚の形式主義的手続き』を意味するそうです。なぜなら、18〜19世紀のイギリスでは、役人が公文書を保管するために、書類を丸めて red tape (赤いテープ) で留めるのが習わしだったため、その赤いテープで留めたり解いたりしなければならず、かなりの時間を要したから。
A: How is your business going?
B: Not so good. I work with government offices. It takes so long to get past the red tape.

 次は、この本を読む前から知っていた表現ですが、読んだことにより、理解が深まりました。

ーhit the spot は、『満足させる』の意

 仕事を終え、花見などをしながらビールをひと口。こんなときに聞く hit the spot。この spot がどこか、気になっていました。本書によると、飲んだり食べたりする場所 (部位)、つまり『胃』のことだそうです。その場所 (部位) に、その飢えや乾きを満たすものが『触れる』ので、『満足させる』の意味になるそうです。疑問が消えました。
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2017年07月15日

「忘れられた花園」

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ケイト・モートン (Kate Morton) 著
青木 純子 訳
東京創元社 出版

 ひとりの年配女性が亡くなり、同居する孫娘が謎めいた遺言を受け取って、それまでその存在を知らされていなかったコテージを相続したところから、物語が始まります。被相続人であるネルは、相続人のカサンドラと一緒にオーストラリアでアンティークショップを経営していたのですが、相続物件のコテージは、イングランドのコーンウォールにありました。コテージの存在を知らされていなかったのはなぜか、なぜイングランドに不動産を所有しているのか、そういった疑問のほか、祖母の知らなかった一面を知る機会を得たこともあり、カサンドラは、祖母の過去を辿ります。

 カサンドラが祖母の過去を辿ると同時に、祖母自身が自らの過去を辿った経緯と、実際に過去で起こったできごとが少しずつ明らかにされるのですが、その謎の散りばめ方と明かし方が巧みで、引きこまれました。家族の過去を探る旅というのは、わたしには退屈に感じられることが多いテーマですが、この作品では、ミステリ同様、伏線が緻密に張られ回収されている効果で、眼が離せなくなりました。(読み終えてみると、あまりに無駄なく登場人物が絡み合いすぎているうえ、ミステリと違って登場人物が辿りつかなかった過去の事実も描写されているせいで、ミステリの謎解きにある到達したという感覚は感じられませんでした。)

 ボリュームのある作品で、執拗な執着を見せる人たちが次々と登場し、ややうんざりするものの、意外な展開が続いたおかげで、飽きることはありませんでした。
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2017年07月14日

「殺人出産」

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村田 沙耶香 著
講談社 出版

 以下が収められているこの短篇集は、同じ著者の作品で唯一読んだことのある「コンビニ人間」に比べると、それぞれ設定が現実的ではありません。

−殺人出産
−トリプル
−清潔な結婚
−余命

 すでにできあがった価値観を考えることなくそのまま受け入れるのではなく、個々について自ら考えるべきではないかと主張するかのように、命の価値や結婚の形式など、現在の常識では考えられない設定で展開します。発想としては興味深く、部分的には理にかなっているとも思いますが、人間に備わる感情というものの存在が忘れ去られたように感じられ、共感はできませんでした。

 長いあいだ生きてきて思うのは、AIやIoTによって生活がどれだけ激変しようとも、人間が感情を失うことはなく、それゆえに潤いが生まれることもあれば、面倒に巻きこまれることもあるという状況は、この先も続くに違いないということです。そう思っているかぎり、これら短篇の世界に完全に入りこむことはできない気がしました。
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2017年07月13日

「楽園 (シドニー州都警察殺人捜査課)」

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キャンディス・フォックス (Candice Fox) 著
冨田 ひろみ 訳
東京創元社 出版

邂逅」の続編で、前作と同じくカットバック手法がとられています。前作では女性刑事エデンと兄の過去が明らかになりましたが、今作で明らかになるのはエデンの養父ハデスの過去です。そして前作同様男性刑事フランクの視点で現在の事件捜査が語られます。

邂逅」のときも、型に嵌らない展開にとまどったのですが、今作もその点は同じです。警察を舞台にした小説でありながら、警察官が公務として追う事件よりも警察官が個人として追う過去や悪人に重きがおかれています。それは、警察官という公僕であっても、理不尽な目に遭えば憤りを覚えるひとりの人間だということを突きつけ、正義とは何か、善と悪の線引きはどこにあるのかを問う意図があるのかもしれません。

 あと特徴的なのは、このシリーズは、一作一作がいちおう完結していても、連続ドラマのように各作品の最後に思いもかけない展開があり、それが次の作品でどうつながるかが気になるよう作られていて、シリーズの途中から読んだ場合、その世界に入り込めないようになっています。シリーズ作品では、シリーズ全体がぶどうの房で、一作が一粒のぶどうに当たり、どの一粒を取っても楽しめるようになっている場合が多いのですが、このシリーズはそうなっていません。読む場合は、第一作の「邂逅」から読み始めることをお勧めします。
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