2017年07月14日

「殺人出産」

20170714「殺人出産」.png

村田 沙耶香 著
講談社 出版

 以下が収められているこの短篇集は、同じ著者の作品で唯一読んだことのある「コンビニ人間」に比べると、それぞれ設定が現実的ではありません。

−殺人出産
−トリプル
−清潔な結婚
−余命

 すでにできあがった価値観を考えることなくそのまま受け入れるのではなく、個々について自ら考えるべきではないかと主張するかのように、命の価値や結婚の形式など、現在の常識では考えられない設定で展開します。発想としては興味深く、部分的には理にかなっているとも思いますが、人間に備わる感情というものの存在が忘れ去られたように感じられ、共感はできませんでした。

 長いあいだ生きてきて思うのは、AIやIoTによって生活がどれだけ激変しようとも、人間が感情を失うことはなく、それゆえに潤いが生まれることもあれば、面倒に巻きこまれることもあるという状況は、この先も続くに違いないということです。そう思っているかぎり、これら短篇の世界に完全に入りこむことはできない気がしました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする