2017年08月24日

「しろいろの街の、その骨の体温の」

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村田 沙耶香 著
朝日新聞出版 出版

 スクールカーストの描写を読んでいるうちに、まだ小学生や中学生だったころのことを鮮明に思い出しました。大昔のことなので、スクールカーストという呼び名はなかったと思いますが、スクールカースト自体はありました。ただ、主人公の結佳が感じるほどの明確な境界線は無かったように思います。エリートクラスとは無縁なわたしのようなおとなの場合、どこへでも流れていけるので、学校に閉じ込められている中学生ほど残酷な場面に立ち会うことは無くなり、残酷な記憶が薄れているだけなのかもしれませんが。

 こうしてわたしの記憶を鮮やかに掘り起こしたので、この作品のリアリティを否定はできませんが、結佳が好きな伊吹の無神経さには、リアリティが感じられませんでした。周囲の何に対しても鈍いのであれば、人物像として破綻しないと思いますが、スクールカーストには気づかないけれど周囲への気配りはできるというキャラクターはイメージできませんでした。

 また、おとなが描くこども視点の小説とはいえ、小学生時代の結佳の分析は鋭すぎて、その延長線上に、自分を持て余してばかりいる中学生の結佳がいるようにも思えませんでした。

 この作家に限れば、読者が自身の経験や知識と照らし合わせるような作品ではなく、「殺人出産」のような非現実的な設定や「コンビニ人間」のような個性が特別際立っている人物が登場する作品のほうが、わたしには向いているのかもしれません。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする