2017年08月25日

「動物農場」

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ジョージ・オーウェル (George Orwell) 著
開高 健 訳
筑摩書房 出版

一九八四年」を思い出さずにはいられない内容です。こちらを読むと、「一九八四年」は、あれもこれもと詰めこまれ過ぎていた気がしてきます。本作の翻訳者である開高氏がジョージ・オーウェルの作品について本書で語っているところによると、「一九八四年」に比べ、「動物農場」のほうが作品として、はるかによくできているそうです。具体的には、「動物農場」を以下のように評価しています。
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『動物農場』というのは、プルーストやらジェイムズ・ジョイスを通過した二十世紀のヨーロッパ文学フィールドの中では、先祖帰りといいたくなるくらいのプリミティヴな小説なのですが、よくこれだけ単純な物語を書く勇気が出たものだと感心させられます。これは成功作ですね。暗い作品なのにあちらこちらにユーモアの閃きもある。大人の読む寓話であって、政治小説としては筆頭の、一、二に挙げられる小説です。
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 そのいっぽうで、「一九八四年」については、以下のように述べています。
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『一九八四年』は『動物農場』に比べて文学作品としてはるかに破綻の多い、どちらかといえば失敗作に近いものと思われるのですが、にもかかわらず私にはその名状しがたいほどの気魄の激しさゆえに、本棚からいつでも下してきたくなる書物の一冊です。失敗作だが貴重な作品だと評価したくなる本がときたまあるものですが、これはその一冊です。
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 これらの評価を読んで思ったことは、「動物農場」からは諦念を、「一九八四年」からは熱を感じたことと、諦念は現実に、熱は理想につながっていて、現実より理想のほうがパワーを持っているのかもしれないということです。わたし自身は、ユーモラスな描写が散りばめられたシンプルな「動物農場」のほうが好きですし、熱よりも諦念のほうが向いている気がします。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする