2017年09月15日

「平和の玩具」

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サキ 著
和爾 桃子 訳
白水社 出版

 300ページほどの本です。そこにクスッとかニヤッとか小さく笑ってしまう33編もの掌編が収められています。当たり前過ぎて既成概念に捉われているとさえ認識できていないことの逆をいく展開、仕方がないと諦めてしまう場面で知恵を絞って相手に一矢報い溜飲を下げる結末、正義や国民のことを露ほども考えず自らの利害だけを公然かつ堂々と追い求める政治家の悪あがきなど、どれも独特のおかしみが感じられます。

 この作家には、人という生き物に対する鋭い観察眼、自身が含まれていようとも人という生き物を茶化す余裕、読む者を楽しませるユーモアがあります。時代が変わっても変わらない人間の本質のようなものをつく作品は、一世紀ほど経って読まれても色褪せて見えません。

 ただ、この一世紀のあいだ、人の本質は大して変わっていないようですが、時代は大きく変わったのだと感じました。サキ(1870-1916)は、44歳のとき志願して一兵卒として前線に赴き、46歳で戦死しています。もし、生き延びていたら、作品のなかで戦後の平和や政治をどう描いていたのだろうかと、ふと気になりました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする