2017年12月14日

「ポンド氏の逆説」

20171214「ポンド氏の逆説」.png

G・K・チェスタトン (G. K. Chesterton) 著
南條 竹則 訳
東京創元社 出版

 ミステリを読むことは、ゲームに参加することに少し似ている気がします。暗黙のルールがある程度あって、そのなかで作家は、謎を作って自ら解いて見せますが、読者はその謎解きに一歩先んじよう、つまりゲームに勝ったかのような気分を味わってみたいと思いながら読んでいるのではないでしょうか。そして解くべき謎の定番は、犯人は誰? 手口は? 動機は? といったあたりでしょうか。

 この短篇集は、それら定番の謎解きではありません。タイトルにある逆説が謎です。逆説というのは『急がば回れ』とか『負けるが勝ち』というものです。初めて聞いたとき誰でも、負けは負けであって勝ちではないと言いたくなるものだと思います。この短篇集のポンド氏は、「何も飲み物がなかったので、みんなすぐ酔っぱらいました」とか「当然のことながら、彼は脚がないので徒歩競争に勝ちました」といったことを、さらりと言ってのけます。そして、謎解きにあたる部分は、逆説の解説です。

 この短篇集には、次の作品が収められていますが、どれにもポンド氏の逆説がある程度含まれています。ただ、逆説にこだわるあまり、リアリティに欠けてしまった「恐ろしき色男」のような作品もあれば、眼の錯覚などを利用した「高すぎる話」のような得心がいく作品もあります。わたしが気に入ったのは、「恋人たちの指輪」です。しかし、ゲームのルールが特殊なので、馴染むことはできませんでした。

ー黙示録の三人の騎者
ーガヘガン大尉の罪
ー博士の意見が一致する時
ーポンドのパンタルーン
ー名前を出せぬ男
ー恋人たちの指輪
ー恐ろしき色男
ー高すぎる話
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする