2018年01月25日

「幸福な生活」

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百田 尚樹 著
祥伝社 出版

 短篇が19篇収められていますが、例外なくどれも、あるルールに従っています。それは、最後の1行で、意外な結末がもたらされることです。そのルールをを知らずに読み始めたのですが、3篇か4篇読んだところで気づき、その途端、意外であるべき結末がある程度予測可能な結末になってしまいました。

 予測可能な理由は、結末に至るまでの説明にあるのだと思います。結末が意外に感じられるようにするために、結末と反対の印象を与えるべく、くどいといっていいほどの説明が加えられています。心情を描写するでもなく、それを裏づけるしぐさや表情を追うでもなく、結末の1行とそれまでのあいだに落差を作るための説明が続くと、結末を想像するのは、そう難しいことではなくなるようです。

 小説で、くどくどと説明されると、場面を思い描いたり、心のうちを察したり、そういう余地がなくなってしまい、あまり楽しめなくなってしまうものだと思いました。
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2018年01月13日

「一生疲れない人の「脳」の休め方」

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菅原 道仁 著
実務教育出版 出版

 キャッチーなタイトルですが、脳の休め方に限った内容ではなく、生活の向上を幅広く扱っています。著者が脳神経外科なので、研究結果などの根拠があり、その点が高く評価できます。

 1.考えたこともなく驚いたこと、2.言われてみれば思いあたること、3.やはりそうだったのかと納得できたことがありましたが、それぞれ印象に残っているのは、以下です。

1. 考えたこともなく驚いたこと

 座りっぱなしの生活は、寿命に大きな影響を与えるそうです。シドニー大学のエイドリアン・バウマン教授らによる調査では、1日あたり合計11時間以上座っている人は、どれだけ運動をしていても、3年以内に死亡するリスクがそうでない人より40%高いと判明したそうです。また1日に合計して8〜11時間座っている人は、座る時間が4時間以下の人に比べ、死亡するリスクが15%も高いそうです。

2. 言われてみれば思いあたること

 ロンドン大学の精神医学学科チームは、「Eメールや電話によって気を散らされたときにビジネスパーソンのIQは低下し、徹夜明けの数値とほぼ同等になる」と発表しています。別の研究ではマルチタスクの切り替えによって、生産性が40%も下がるとした報告もあるそうです。
 ひとつのことしか集中できないと割り切って、メールや電話に割く時間をまとめるのが効率的なのでしょう。

3. やはりそうだったのかと納得できたこと

 ストレスを感じている友人や家族、同僚に会うと、自分まで瞬時に影響を受けてしまうことがあり、ある研究によると、ストレスを感じている人を見ただけで、被験者の26%がコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルが高まったそうです。こういった「セカンドハンド・ストレス(周囲から受けるストレス)」は、知らない相手より恋人の方がより感染力が高いことがわかっていて40%の人が恋人の状況に影響を受け、見知らぬ他人のストレスに影響を受けた人も24%存在していたそうです。
 ストレスと上手に付き合うようにするとともに、それができていない人には極力近づかないほうが良さそうです。
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2018年01月05日

「老人犯罪団の逆襲」

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カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ (Catharina Ingelman-Sundberg) 著
木村 由利子 訳
東京創元社 出版

犯罪は老人のたしなみ」の続編です。タイトルにある老人犯罪団は、5人で合計400歳という年齢を武器に、認知症のフリをしてピンチを切り抜けるという最終手段に訴えることもありますが、周到に計画を立てたり、リハーサルを繰り返したり、犯罪のたびに手口を変えたりといったプロフェッショナルな面も併せ持つユーモラスな集団です。

 そうはいっても、にわか犯罪団なので詰めが甘く、手に入れた金銭や高額品をいともあっさり紛失してしまうというドタバタだらけで、それが読みどころのひとつになっています。前作同様今作でも、失くしたものが巡り巡って目の前にあらわれる場面がいくつかあるのですが、80歳の現役窃盗犯たちよりも、非現実的な設定になっています。

 そんな笑えるほど非現実的な設定があっても、とりあえず楽しく読めてしまうのは、80歳前後のお年寄りが寝たきりになってしまうのではなく、目標をもって元気に窃盗に励み、社会貢献を果たし、5人の共同生活を楽しむという明るさの為せるワザです。こと老後に関しては、暗いニュースが多い世の中にあって、こういうストーリーは、多少のことは目をつぶる気になれてしまいます。
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