2018年04月23日

「陸王」

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池井戸 潤 著
集英社 出版

下町ロケット」と似た作品です。資金調達に苦しみながらも新しいモノを開発しようと奮闘する中小企業、それを潰そうとする大企業、実績だけにこだわる銀行など、登場する面々も似ていますし、善と悪のわかりやすい対立を基軸としていたり、特許などの権利関係を絡ませて企業間の駆け引きがあったり、紆余曲折を経てハッピーエンドを迎える展開や万人受けしそうなわかりやすさも似ています。

 少し違うのは、今作で中小企業が開発を挑むのは、「下町ロケット」のロケット部品と違って、一般消費者もイメージしやすいランニングシューズだという点です。中小企業の規模も零細に近い規模で、社長がビジネスに疎かったり、そのランニングシューズがアスリートという生身の人間をサポートすることを通し、ビジネスの枠では捉えにくいスポーツの世界やアスリートの視点も描かれたり、より身近な印象を与えています。

 理不尽なことしか起こらない現実の仕事をいっとき忘れて理想に浸れる作品だと思います。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする