2018年09月10日

「ココロの止まり木」

20180910「ココロの止まり木」.png

河合 隼雄 著
朝日新聞社 出版

 身近な話題をタネに、著者の多岐にわたる活動や臨床心理学者としての博識が披露されていますが、押しつけがましさがありません。

 印象に残ったのは、日本の神話と精神に関する話題です。

<<<<<
 日本神話の全体としての特徴は、「均衡」ということであろう。ふたつの対立する力のどちらかが勝ち、どちらかが敗れる、というのではなく、ふたつの力が均衡し共存する。これは世界の神話のなかでも珍しいと言ってよく、示唆するところの大きいことである。
>>>>>

 また、こうもいってます。

<<<<<
 日本神話の中心にいる神は、名前があるだけでまったく何もしない。「空」の状態なのである。ところが全体として見ると、多くの神々が反発したり、協調したりしながらも、うまくバランスをとって全体構造をつくりあげている。
 どれかが強くなって中心を占めそうになると、それに対抗したり、揺り戻そうとする力が生じて、結局はうまく中空均衡の状態に戻される。これが実に巧妙に行われるところに、日本神話の特徴がある。
>>>>>

 この「中空均衡構造」は、日本人の特性を考えるうえでヒントを与えてくれると著者は、書いたうえで、比較対象に「原理中心統合構造」をあげています。

「原理中心統合構造」とは、一神教の神のような絶対的な存在が中心にいて、明確な原理を示し、力を持っていて、全体はそれによって統合されていると説明されています。

 もし日本にトランプ大統領のような党首があらわれたら……、もしアメリカ政治に日本の与党と野党のような足の引っ張り合いが持ち込まれたら……。いろいろな『もし』が思い浮かびましたが、スピードが求められる現代においては、日本人も「中空均衡構造」の一部を壊して、「原理中心統合構造」を取り入れる余地をつくるべきかもしれません。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする