2018年09月24日

「絵を読み解く 絵本入門」

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藤本 朝巳/生田 美秋 編著
ミネルヴァ書房 出版

 絵本を分類し、それぞれに対して考察している良書です。

 第T部では、物語絵本、昔話絵本、ファンタジー絵本、ポストモダンの絵本 (従来の形式にとらわれない常識破りな絵本) 、赤ちゃん絵本と分類しています。おもしろかったのは、赤ちゃん絵本です。0 〜 2 歳の赤ちゃんに読み聞かせるそうですが、2 歳はともかく、1 歳未満の子に絵本なんて……と驚きましたが、具体例とともに読み進めると、赤ちゃん絵本も重要なジャンルのひとつだと納得できます。

 第U部では、古典/海外、古典/日本、現代/海外、現代/日本の 4 つに分類し、それぞれ 10 点ほどの絵本が紹介されています。

 数多くの絵本が具体的に紹介されていて、盛沢山の内容です。時間が許すなら、絵本の実物を手にしながら、1 日 1 冊ずつ絵本の紹介を読むといったペースで、それぞれの個性を味わうといった読み方がおすすめです。随所に絵本の一部のページが転載されているとはいえ、実物を手にするとやはり多くの気づきが得られるからです。

 特別印象深かった本が 2 冊あって「もこ もこもこ」と「おんぶはこりごり」です。

「もこ もこもこ」は、前出の赤ちゃん絵本に該当しますが、オノマトペと抽象画が連動する仕掛けで、ストーリーはありません。子供向け本の基本展開である『行って帰る』ではありませんが、抽象画の形が最初と最後で同じになっていて、それが『行って帰る』を感じさせます。オノマトペには音象徴が見られるため、赤ちゃんに読むには良い本だと思います。

「おんぶはこりごり」は、家のなかのことをすべて母親に頼っている一家のはなしです。要は、家のなかのことは、みんなで分担しましょうということなのですが、それが幼児も読む絵本になっている点と遊び絵などを多用して重くなりやすいテーマを謎解きのように楽しめるようになっている点が、わたしにとって斬新でした。

 子供が読む本だからこそ、よりいっそう真摯に描かれている作品が多いことに驚かされました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする