2018年11月24日

「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」

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ミック・ジャクソン 著
田内 志文 訳
東京創元社 出版

 帯などに『寓話』とあるのですが、わたしには教訓や諷刺といった要素はあまり感じられませんでした。以下の 8 つが収められた短篇 (連作) 集ともとれますが、翻訳家は、どちらかというと中篇小説のように捉えたのかもしれません。

 そう思った理由は、邦題です。原題は、"Bears of England" で、「イギリスの熊 (たち)」ぐらいの意味です。それに少し情報を加えたのは、8 篇の並びとも関係があります。

- 精霊熊
- 罪食い熊
- 鎖につながれた熊
- サーカスの熊
- 下水熊
- 市民熊
- 夜の熊
- 偉大なる熊 (グレート・ベア)

 タイトルにあるとおり、イギリスでは 11 世紀に熊が絶滅したのですが、その原因は狩猟だったようです。そこから推察するに、熊が現代のトキのように大切にされていた時期もなかったでしょうし、また絶えて久しい熊の存在が、現に目の前に存在する動物たちに比べ、妖精といった存在に近いと捉えられても不思議ではないように思います。

 実は、そう思えるような不思議なストーリーがこの本にはあります。虐げられ、悲しい思いをする数々の熊が、文章と挿絵で描かれています。熊を人と見ることもできますし、読者それぞれがストーリーを自由に見ることができる作品だと思います。

 読まれるときは、最後の訳者あとがきから読まれることをお勧めします。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする