2019年03月21日

「文化が織りなす世界の装い」

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山田 孝子/小磯 千尋 編
英明企画編集 出版

『装い』と聞くと、わたしは洋装や和装ということばを思い浮かべるのですが、ここで取り上げられる装いはもっと幅が広く、装飾品はもちろんのことタトゥーのように肌に直接刻まれるものも含まれます。

 また、文化的に近い欧米諸国ではなく新興国を中心に取り上げられています。普段接する機会の少ない地域の装いは当然ながら、知っていると思っていた和装についても驚くことがありました。

 もっとも驚いたのは、肌に刻まれるものです。著者のひとりが1980年代のナイジェリアで実際に見たハウサという民族のことを紹介しています。子供が歩き始めると家族の一員の証に、額を縦に走る一本の傷をつける習慣があるそうです。たとえそれが民族のアイデンティティの維持につながっているとしても、日本で女の子の顔に傷をつける意味を考えると驚きました。

 和装について驚いたのは、帯です。幅広の帯が正装になったのは、明治時代に呉服屋が帯の単価をあげ収益につなげようとしたことに端を発していて、もし庶民の半幅帯を正装としていたら、ひとりで気軽に着ることができ、ここまで和装が珍しいものにならなかったのではないかという見方です。たしかに一理あるかもしれません。

 そのほか、自己主張、アイデンティティ、政治、機能、おしゃれといったさまざまな事柄と装いとの関係を広く浅く知ることができた本でした。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする