2019年11月25日

「黒い紙」

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堂場 瞬一 著
KADOKAWA 出版

 とても大きな箱の蓋を開けたら中にとても小さなものが入っていたとか、美味しそうなジュースを飲んでみたら水っぽかったとか、そういうふうに表現したくなるような作品でした。

 この作品は、34 歳の元警察官長須恭介が企業の危機管理専門の会社で働くようになって 3 か月経ったころ、ある企業に届いた怪文書の事実関係を探る仕事を任されるところから始まります。長須は、公僕である警察官当時に求められたものと、特定の企業のために働く危機管理会社の社員に求められるものの違いに馴染めず、仕事に向き合う姿勢を定めることができません。

 そんな長須が怪文書に書かれた内容の真偽を確かめるとともに怪文書が送りつけられた動機を探り当てます。警察官の視点で動機を見れば理不尽な扱いを受けた者による犯行に見えたかもしれませんし、もちろん登場人物本人にとってはこのうえなく辛かったことでしょう。でも、会社員生活全般で見れば特に珍しいことではないと思います。全体的に、もったいぶって匂わせた割には驚くほどの謎はなかったという出来で、ミステリとしての面白みには欠けると思いました。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする