2020年06月22日

「マリアさま」

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いしいしんじ 著
リトルモア 出版

雪屋のロッスさん」以来久しぶりに、いしいしんじの短篇集を読みました。

 短篇や掌篇と呼ばれるような長さの作品が 27 篇収められています。(「マリアさま」という作品はありません。)共通するテーマがあるようには見えず、日常生活を切りとったような作品から、ファンタジーのような寓話のような作品まで、いろいろです。初出を見ると、広告誌と思しきものも含まれ、雑多な媒体から集められたようです。

 読後感は「雪屋のロッスさん」には遠く及ばず、正直なところ落胆しました。この作家に対する期待が知らないうちにこれほど高まっていたとは自分でも意外でした。

 そのなかで印象に残った作品は「土」と「船」です。前者は、からだから土がわいてくるようになった男を見舞った友人が語る話です。後者は、家族で乗船した少年がひとり、船が転覆することを予測し、それを伝えるべく就寝後にベッドを抜け出す話です。

 どちらも不安と安堵を得たいという感覚に共感できました。停滞感のあるときだけに、より印象に残ったのかもしれません。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする