2008年07月23日

「鹿男あをによし」

20080723[ShikaotokoAwoniyoshi].jpg

万城目 学 著
幻冬舎 出版

 なんともへんちくりんなタイトル、と思ってしまいましたが、そうでもありませんでした。わたしの単なる無知でした。あをによしとは、広辞苑によると次のような意味だそうです。
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あおに‐よし【青丹よし】アヲ‥〔枕〕(ヨもシもともに間投助詞)「奈良」「国内(くぬち)」にかかる。奈良に顔料の青丹を産出したことが秘府本万葉集抄にみえるが、事実か伝説の記録か不明。一説に、「なら」に続けたのは顔料にするために青丹を馴熟(なら)すによるという。
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 舞台は奈良で、主人公は鹿の顔にさせられてしまった28歳の男性臨時教師ですから、そんなに不自然ではないわけです。(ちなみに、表紙の男性側が、鹿顔ではありませんが、主人公です。)

 結果的に、へんちくりんなタイトルと思ったわりには、素直に楽しめた作品でした。いろんなことが、広く薄く絡まっていて、嫌われる要素の少ない作品だと思います。

 たとえば、関西のお笑いムードなども盛り込まれています。表紙のふたり、臨時教師と女子高生イトとの出会いも笑えます。臨時とはいえ、教壇に立った初日に、イトは遅刻してきます。言い訳もせず席に着くイトに理由を訊く主人公。イトは駐禁にひっかかったと答えます。バイクを禁止されている高校1年生に駐禁はないだろうと質されると、マイ鹿だという。奈良では、みんなマイ鹿で移動しているとボケるイトに、関東出身の主人公はキレます。なんとなく、関西と関東の感覚の違いが伝わってきて笑えます。

 また、奈良だけに歴史的な要素が組み込まれている上、ミステリのようなサスペンスのような感覚もあるのですが、ミエミエだけに、安心して読み進められます。かと思えば、学園もののような「ミラクルが起こって感動」といった場面もあります。

 ドラマ化されたと聞いて、ドラマのために書いたような作品だと、あらためて思いました。
posted by 作楽 at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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