
マハラジャのルビー
- Philip Pullman 著
- 山田 順子 訳
- 東京創元社 出版
- 924円
書評/ミステリ・サスペンス

女性がひとりの独立した存在として認められなかった時代、たとえば財産を所有するのに不自由があったり、必要以上に「女性はこうあるべき」という通念を押し付けられた時代の女性は大変だったろうと思います。もちろん、現代の特定の地域の女性も。
そんな同情心をもってしまうわたしは、窮屈な時代にあっても、偏見をものともせずにのびのび行動する女性を見聞きすると、思わず喝采をあげたくなります。そんな気分を味あわせてくれたのが、この「マハラジャのルビー」。
ときは、1872年。場所は、ロンドン。16歳の少女、サリー・ロックハートが不可解な手紙を受け取ったことから、ミステリが始まります。
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サリ七つの祝福に用人しろ
マーチバンクスが助けになってくれる
チャツム
用人しろ
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この「七つの祝福」が何を指すのか、受け取ったサリーにはわかりません。また、マーチバンクスが誰なのかも。そもそも、用心する必要性に心当たりもありません。サリーは、物心つく前に母親を亡くし、最近、海運事故で父親を亡くしたばかり。優しいとはいい難いおばの家に身を寄せている境遇で、相談できる人もいません。
結局、父親が所有していた海運会社に行き、共同経営者だったサミュエル・セルビーに心当たりがないか訊いてみることにしたのです。しかし、セルビーは不在で、ミスター・ヒッグスが代わりに対応してくれることに。そして、「七つの祝福」のことを口にした途端、ミスター・ヒッグスは心臓が原因か苦しみ出して、そのまま亡くなった。ますます、手紙が不可解なものになってしまいます。
サリーは、自分でこの謎を解こうとします。その過程で、居心地の悪いおばのもとを出て、自立した生活を始めたりもします。
サリーを助ける人々のおかげもあるのですが、サリーの探究心や好奇心が土台になって、本のタイトルにもなっている「マハラジャのルビー」と自らの出生の秘密へと進んでいきます。
サリーが若いだけに、彼女の行動力は読んでいて清々しさがあります。映画にもなった「ライラの冒険」の著者だけに、若者の生き生きとした躍動が描かれています。

