2008年10月02日

「ナイチンゲールの沈黙」

20081002[NightingalenoChinmoku].jpg

海堂 尊 著
宝島社 出版

 期待の残酷さを感じました。これはこれで楽しめるエンターテイメントだと思うのですが、やはり「チーム・バチスタの栄光」の続編としての目で見るので、色々な点でつい比較してしまい、この作品への評価が厳しくならざるを得ないのだと思います。

 ひとつめは、リアリティ。前作ほどにリアリティを感じる設定ではありませんでした。主人公の浜田小夜の特殊な能力は、おもしろい設定ではあるのですが、物語の核との絡みにおいて疑問を感じてしまいました。

 次に、キャラクターのトーンダウン。白鳥は前作ほどのシャープさがありません。もちろん、一般的な基準からいうと、際立ってはいるのですが。白鳥の天敵としてあらわれた加納も、白鳥・加納コンビとしてみたときに、ふたりの掛け合いが消化不良を起こすような感じです。新しく患者として登場した瑞人も個性を発揮していますが、少年なのでやはり惹きつける力に欠けるような気がします。

 最後は、殺人事件が起こって、その犯人が見えていることへの疑問。わたしとしては物足りなさを感じました。ミステリとしての楽しみを残しておいて欲しかったと思います。犯人は見えているけれど、まだ何か起こるのではないか、という期待をもってしまったのですが、その期待はやはり「チーム・バチスタの栄光」が原因です。

 「チーム・バチスタの栄光」が過去の栄光とならないように、次を期待したい気もしますが、「チーム・バチスタの栄光」はあれで完結させたほうがよかったのかもしれません。
posted by 作楽 at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック