2008年11月13日

「海外短編のテクニック」

20081113[KaigaiTanpennoTechnique].jpg

阿刀田 高 著
集英社 出版

 阿刀田氏が直木賞候補にもなった小説家だということは知っているのですが、やはり、わたしの中では「旧約聖書を知っていますか」や「新約聖書を知っていますか」のイメージが強く、扱われている作品の分野が海外短編とかわっても、阿刀田氏の文学エッセイなら楽めるのでは、という期待から手にした一冊です。

 帯にはこうあります。「レトリックとトリック、視点、書き出し、ストーリー性・・・・・・。あなたも書いてみますか?」

 でも、この本を読んで、わたしもこういうテクニックを使ってみて書いてみよう、とは思わないのではないでしょうか。有名どころの短編小説のあらすじや作家自身の略歴の割合が多すぎて、文学的な技巧については、あまり触れられていないです。

 でも、まったくないわけではありません。「そういわれてみれば、そうかも」と思ったのは、次です。
<<<<<
 大空の視点

 そう言えば、私は大空の視点というものを提言したことがあった。大空には太陽や月や星がある。太陽が出ているときは月や星は消えてしまう。月が輝けば星は消える。ちょうどこのように、太陽に匹敵する第一の登場人物が登場しているときは、すべてこの人の視点で綴られる。彼がいなくなると、第二の登場人物、月の視点になる。月がいなくなれば星の視点となる。段階的に、一定の法則をもって視点が変わる、というわけだ。こんな小説もありそうだ。
 このように考えてくると、小説における視点の問題はけっして単純明快なものではなく、まだまだ考え尽されていないようだ。
 目下のところ、私は、
「視点の問題って政治家の汚職みたいなものじゃないの」
とジョークを吐いている。
 つまり、だれしもが違反をやっているのだ。ただ見つかったら、いけない。政治家はそうである。ちがいますか? 同様に、熟練した作家も違反をやっている。が、やっても読者に見つからない。技が巧みなので意識されないのだ。
>>>>>

 比喩が阿刀田氏らしいです。視点は、読むときには意外と意識していないものです。書くときには考えざるを得ませんが。

 作家や作品の個性も、やはり阿刀田氏らしく形容されています。ただ、すでにその作家の作品を複数読まれている読者にとっては、意見が分かれるところでしょう。

 わたしのように、たいして有名作家について知らない人間のほうが、読みたい気持ちを持てたりして、この本の読者に向いているような気がします。特に「短編」というところが、実際に読むとなっても、気軽に取り組めそうですから。
posted by 作楽 at 00:10| Comment(1) | TrackBack(0) | 和書(本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
興味深いブログですね〜。seesaaのランキングサイトから飛んできました。私はホテルマンをしています。
旅やアウトドアは人の心を豊かにさせますねー。
秋や年末年始の旅行の予定は決まりましたか?
楽天でブログを書いてます。
http://plaza.rakuten.co.jp/hotelman/

私のオススメ!!!
楽天トラベルの「ありがとう1億人突破!大感謝祭!」10/29〜12/25
http://travelrakuten.zz.tc/special100million

★相互リンクを張りませんか?リンク仲間現在450名以上!
よろしくお願いします。こちらにメール下さい。
plaza.rakuten.hotelman@gmail.com
(URLとブログ名を明記して下さい)
ではまた来ます。
Posted by ホテルマン at 2008年11月14日 06:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック