
ウォリス家の殺人
- D.M.Devine 著
- 中村 有希 訳
- 東京創元社 出版
- 903円
書評/ミステリ・サスペンス

出だしはそうでもなかったのですが、中盤にさしかかる頃から、ぐいぐいとひっぱられました。
舞台は、1962年の英国。タイトルにあるウォリス家は、ジョフリー・ウォリスとライオネル・ウォリスの兄弟。弟のジョフリーは、若い頃から作家として売れていて、今はテレビ番組にも登場する成功者。一方、兄のライオネルは、隠棲生活を送っているといってもいいような立場で、兄弟は対照的です。しかも、ジョフリーは、ライオネルに脅迫されているらしい。
それが原因かどうか不明なのですが、ジョフリーはひどく塞ぎこんで、一挙に老け込んだ様子。それを心配した妻のジュリアは、ジョフリーの幼なじみであるモーリス・スレイターに夏季休暇をウォリス家であるガーストン館に滞在して欲しいと頼みます。物語の語り手は、このモーリス。そして、モーリスの息子クリスとジョフリーの娘アンは婚約者同士という関係でもあります。
親子にわたって近い関係にあるジョフリーとモーリス。しかし、ジョフリーにはモーリスに見せない部分もありました。そのひとつが、ジョフリーの日記。子どもの頃から一日もかかさず書き続けた日記なのです。子どもの頃は人前で書いていた日記は今ではジョフリーの秘密になっています。そして、その日記の出版が予定されているのです。日記には他人の誹謗中傷も含まれるらしく、出版前から問題をはらんでいる様子。
いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、結論に向かってページを繰り続けたくなってしまう本です。
ただ、わたしの好みとしては、もう少し翻訳がこなれていたほうがよかったように思います。あと、訳者あとがきも正直といえば正直ですが、なんとなく、この著者の本をまた読みたいと思う気持ちが削がれるような内容でした。
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実はディヴァインの作品には、舞台や登場人物や小道具などに、一定のパターンが感じられるのです(しかもバリエーションがとても少なかったりする)
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ワンパターンとまでは言わないまでも、それに近いということなのでしょうか。だったら、これ一冊で十分かしら、などと考えてしまいました。

