
待ちに待った個展の夜に
- Janie Bolitho 著
- 安野 玲 訳
- 東京創元社 出版
- 861円
書評/ミステリ・サスペンス

帯には、「コーンウォール・ミステリ第4弾」とあります。コーンウォールは、英国西部突端にあたる地方です。わかりやすい地図が巻頭にありました。マウント湾に面したところに、主人公ローズ・トレヴェリアンの住むペンザンスはあります。
ローズは、夫を亡くし、ひとりで暮らす40代後半女性。夫を亡くしたあと、油絵を描くようになり、その成果として個展を開くことを夢としていました。そして、それがいよいよ現実になります。個展初日、両親や友人に囲まれ、自分の絵に売却済みのシールが貼られるの見ながら楽しい夜を過ごします。しかし、その場に友人のエッタ・シノウェスの姿が見当たりませんでした。彼女の息子ジョーが転落死していたのが見つかったからです。事故か事件か? そこから、コージー・ミステリが始まります。
コージー・ミステリだから仕方がないのかな、と思いながらも、ミステリとしては物足りなさを感じました。一番の理由は、ちょうど中盤になってから、鍵となる事件や人物が唐突に登場してきたからです。
ただ、コーンウォールの海辺の生活や風景が存分に描かれていて、そこで暮らす人たちも自然体なので、読んでいてリラックスできます。都会にはない居心地のよさといったらいいでしょうか。そういう楽しみがあります。
イギリスといえば、ロンドンくらいしか思い浮かびませんが、スコットランド方面に向かわなくても、西部に向かえば、こんな光景があるのかと、行った気分を味わえながら、ミステリを楽しめます。


