2009年02月13日

「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」

スティーグ・ラーソン (Stieg Larrson) 著
ヘレンハルメ 美穂/岩澤 雅利 訳
早川書房 出版

 スウェーデンで発売された「ミレニアム」三部作シリーズの第一作。人口900万人に対し、270万部売れたというのですから、桁外れのベスト・セラーです。その後、各国語に翻訳されています。日本語に翻訳されているのは、今のところまだこの一冊のみです。「次も早く翻訳して欲しい」そう思うくらい楽しめた作品です。ベスト・セラーになったのも読めば納得できます。しかし、残念なことに、著者はこれだけの売れっぷりを見ることなく、2004年11月に心臓発作で亡くなっています。(この本の出版契約が2004年初頭で実際の出版は2005年。)「ミレニアム」の次がないというのが、残念で残念で仕方がないです。

 この本がよくできていると思うおもな理由は3点です。1点めは、プロット。伏線が縦横無尽に張り巡らされていて、しかも無駄がないです。たとえば、登場人物の不可解な行動の根拠も伏線として説明されていて、動機づけとして自然な感じで読み進められます。2点めは、登場人物の魅力。かなり強烈な個性の人物が多数登場するのですが、それぞれに憎めない面があり、読者として共感できます。違法行為をしている女性でさえ、好ましく思えてきます。3点めは、わかりやすさ。企業の不正やコンピュータ・ハッキングなど、専門性の高い分野を扱っているにも関わらず、すんなりと入ってきます。

 物語は、約1年かけて進みます。本のタイトルにある「ミレニアム」は独立系雑誌。その発行責任者であるミカエル・ブルムクヴィストは、実業家であるハンス=エリック・ヴェンネルストレムの不正を暴く記事を書き、訴えられて有罪の判決を受けます。有罪判決が「ミレニアム」に与える影響を最小にすべく、ミカエルはミレニアムの仕事から遠ざかります。そのタイミングで、ヘンリック・ヴァンゲルという引退した実業家から、30年以上も前に失踪した兄の孫娘にあたるハリエットの事件を調査して欲しいという依頼が入ります。ヘンリックは、ハリエットが失踪したのではなく、親族が株を所有するヴァンゲル・グループ会社の諍いに巻き込まれて殺されてたと信じているのです。彼自身、その事件をずっと調査してきたのですが、行き詰ったので新しい目で事件を見て欲しいと依頼します。もし1年間調査して何も見つからなくても報酬は支払われるというのです。いくら仕事から距離をおくことになったとはいえ、ミカエルがそんなわけのわからない事件調査を引き受けるわけがありません。でも、魅力的なのは、ヴェンネルストレムの悪事をヘンリックが証明し、証言もするという報酬です。それに釣られて、ミカエルはこの仕事を引き受けます。このハリエット事件を担当する人間は、ヘンリックにとって重要な意味をもちます。そのため、ミカエルの身元を調査するよう調査会社に依頼していました。その調査を担当するのが、リスベット・サランデル。本のタイトルにあるドラゴン・タトゥーの女です。強烈な個性の持ち主ですが、抜群の調査能力を有します。ミカエルとリスベットが調べるハリエットの行方。それにあわせて、ヴェンネルストレムの裁判の裏も見えてきます。

 読み出すと止まらなくなります。かなりのボリュームがあるので、読み出すタイミングをはかったほうがいいかもしれません。
posted by 作楽 at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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