2009年02月18日

「The Tavern in the Morning」

20090218[TavernInTheMorning].jpg

Alys Clare 著
Hodder & Stoughton 出版

 英国歴史小説。一応ミステリというかたちになっていますが、犯人探しの途中で起こるロマンスのほうが主の印象を受けました。

 12世紀、ケント州にある宿屋で、ひとりの男が死んでいるのが発見されます。前夜に宿屋で食べたものが原因だと噂されます。宿屋のパイに疑いの目が向けられるなか、その宿屋の主人と親交のあるJosse d'Acquinという、Richard I世に仕える騎士が調べ出します。その相談役になるのが大修道院長であるHelewise。このふたりが、いわばミステリの探偵役として物語が進みます。

 Josseは、宿屋でパイを食べて死んだ男は、実はほかの男に出される予定だったパイを食べて死んだのではないかと推理します。その「ほかの男」を探している途中、突然襲われ、頭を怪我します。そこを助けてくれたのが、Ninianという少年とその母親であるJoanna de Leon。この親子は、本来パイを食べて死ぬはずだった男と繋がりがあり、身を隠していました。さきほど書いた「ロマンス」とうのは、このJoannaとJosseのあいだのことです。

 毒を盛ったのは誰か、という犯人探しよりも、このJoannaの生き方のほうに目が行ってしまいました。ある男の罠に落ち、翻弄されながらも潔く生きる姿は人に力を与える強さがあります。また、その彼女を支えようとするJosseを見ると、やはりロマンスを前面に出したほうがいい作品ではないかと思いました。(ハッピーエンドではないので、ロマンスに分類できないのでしょうか。)

 全体的にもう少しテンポよく展開してもいいかも、という不満を感じないでもないですが、伏線も多く簡単に読むのを挫折してしまうほどの単調さではないと思います。わたしは、英国の歴史小説を読む機会が少ないので、興味深く読めました。
posted by 作楽 at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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