2009年06月08日

「ショットバー」

20090608[ShotBar].jpg

麻生 幾 著
幻冬舎 出版

 表紙を捲ればそこには知らない世界が広がっている。そういう本です。しかも、知らない世界は遠い国などではなく、ここ日本の一部。警視庁の捜査一課、公安部外事二課、海上自衛隊、大使館、商社など、わたしには何の縁もない組織の人たちが自分たちの主張を最優先にするために、他人を騙したり駆け引きしたり競ったりする様が描かれています。その渦中に巻き込まれるのが、中堅商社に勤める29歳の吉岡亜希。

 亜希は担当する顧客を持ち、ある程度仕事を任された立場にあるものの、もっとグローバルな仕事をしたいと考えています。その一方、30歳を前に、付き合っている翔太というおない年の男性との結婚を考えたりもします。最初は、29歳のどこにでもいる女性のように描かれているのですが、ある殺人事件の目撃者というかたちで警察と関わるようになり、彼らの駆け引きの真っ只中にいることが見えてきます。

 そして、優柔不断と自分で思っている亜希ですが、ひとつひとつ自分で決断しようとする方向に行きます。いつも相手の都合に合わせていた翔太との付き合いをどうするのか。ロンドンで起業するのを手伝って欲しいと言われたとき、ロンドンに行くのか。舞台は外交も絡む遠い世界ですが、結局のところ、男女の関係を見る女性側の視点が中心となった話です。

 結局、男女の関係においての「幸せのものさし」なんて、ひとの数だけあるのだと再認識してしまいました。他人から見れば、騙され堕ちていく女性が可哀そうに見えても、好きな男に騙されているほうが幸せということもあるのだと思うのです。
posted by 作楽 at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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