2009年06月10日

「極め道―爆裂エッセイ」

20090610[KiwameMichi].jpg

三浦 しをん 著
光文社 出版

 「おかしい」。読んでいて最初に浮かんだ感想です。

 今までにも数冊同じ作家のエッセイを読み、毎回楽しく笑えていたのに、おもしろくない。あれだけ笑い声をたてて読んでいたのが嘘のように、つまらない。そんなはずはないと読み進めて、はたと気がつきました。これは、著者が学生時代から社会人になった当初の作品です。学生時代の就職活動がネタになっている箇所にきて気づきました。初出を調べると、1998年11月15日から2000年6月4日まで、Boiled Eggs Onlineの掲載となっています。(この文庫の初版は2007年6月です。)

 ということは、著者の当時の年齢とわたしの今の年齢差が開き過ぎておもしろくないということでしょうか?

 そう思いながら考えたのは、やはり著者も現在に比べると未熟だったのではないかということです。三浦氏は、本人も認めるオタクです。でも、まったくオタクの世界を知らないわたしでも楽しく読めていたのは、そのあたりの不足を補う解説がきちんとエッセイに含まれてたからです。しかし、本作品は少し解説不足のようです。知人友人ファンなどからの反響で、一般の人々のマンガなどに対する知識レベルを著者本人が徐々に把握できるようになっていったのではないかと、読み終わってから推測しました。もうひとつは、著者自身が自分の論理に熱が入り過ぎていて、「言いたいことはわかりますが、そこまで熱くなられるとちょっと」と思う箇所もありました。そのあたりを、あくまでもサラッと言ってのける余裕を見せて初めて人に伝えることができるのではないか、そういう偉そうな推測を立ててみたりもしました。

 でも、一番の発見は、どんな人にも経験は大切なことなんだな、ということです。(実際は、わたしが鬱状態で笑えなかっただけで、本作品には何の瑕疵もなかったかもしれませんが。)

 これはこれで、「あの直木賞作家も、就職活動に汲汲としていた時期があったんだ」と思えた点で読んだ甲斐はありましたが、やはり「しをんエッセイ=ストレス発散」というわたしの中の等式を崩さないよう、あまり古い作品は選ばないよう決めました。
posted by 作楽 at 01:42| Comment(4) | TrackBack(1) | 和書(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 あー!そうなんだ!わたしもこれ読んだとき、あの三浦しをんの作品にしては、笑えない、なんでだろ?と思ったんです。飽きてきたのかな、とか・・・そっかぁ、昔の作品でしたか。平台に積んであるのを買ったんで、つい最近のエッセイだと思ってました。
 ところで・・・。以下はちがうところに書き込みますね。
Posted by さくじろう at 2009年06月12日 09:46
さくじろさん

コメントありがとうございます。
このエッセイ集は、Boiled Eggs OnlineというWebサイトで公開されていたものを本にしたようです。当時は三浦氏も無名で本にならず、人気が出てから本になったんでしょう。
でも、さくじろさんも「笑えない」と思っていらしたなら、やっぱり、笑いには何かが足りないエッセイだったということでしょうね。
Posted by 作楽 at 2009年06月12日 12:47
こんばんは。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
Posted by 藍色 at 2009年08月08日 04:10
藍色さん、

トラックバックありがとうございます。わたしもトラックバックさせていただきますね。
Posted by 作楽 at 2009年08月08日 14:46
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

極め道爆裂エッセイ 三浦しをん
Excerpt: 普通に生活していても、感じることは無限大。 ぜんぶ言葉にしてみたら、こんな感じになりました。 マンガや小説、ボーイズラブなどの分析...
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2009-08-08 03:33