2009年06月22日

「乳と卵」

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川上 未映子 著
文藝春秋 出版

 東京に住む女性の語り手が、大阪に住む姉の巻子とその娘緑子が遊びに来たのを迎えるところから、送るまでのできごとが書かれています。2泊3日のできごとです。

 母親のほうの巻子は、自分の胸にコンプレックスを持ち、豊胸手術を受けることを考えています。妹とふたり銭湯に行っても、食い入るように他人の胸を見つめそのかたちについて語り続けます。一方、娘のほうの緑子は女になることを受け入れ難く、すでに卵子を持って生まれてきた自分のからだを受け止められずにいます。

 そんなふたりが「乳と卵」なのですが、生殖に関わることだけに、子どもを産むということや女というだけでなく母親になるということも含まれています。つまり、この親娘にはこの親娘なりの問題があり、娘は母親に対して口をきかず、筆談で済ますという態度をとっています。

 なんとなく、卵、乳、子、と象徴的につながってきて、話の最後には玉子がでてきます。ここまでくると、なんとなく「象徴するものを全部くっつけてみました」という感じに受けとれて、秀才の作文を読んでいる気分になってしまいました。

 第138回芥川賞受賞作品です。
posted by 作楽 at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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