2009年07月08日

「言語世界地図」

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町田 健 著
新潮社 出版

 言語に関するトリビアが詰まっています。初出が「フォーサイト」という雑誌の連載だったので、各言語の特徴が新書サイズで4ページという決まったスペースに収められており、広く浅く知りたいと思う方向けの構成になっています。

 全世界では六千あるとも七千あるとも言われている言語ですが、名前だけしか知らない言語でも五十も挙げられないわたしにとっては、小さな驚きや納得の連続です。

 驚いたのは、違う言語なのに通じ合うということです。島国に住んでいると実感がわきません。たとえば、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語は似ていて、それぞれの言語で話していても通じるそうです。その差異は大阪弁と標準語程度と書かれてあります。やはり距離的に近くて人が行き来しやすいということはことばも混じっていくということでしょうか。

 同じようにポーランド語、チェコ語、スロバキア語は違う言語ですが、ロシア語の話者なら話が通じるそうです。おもしろいのは、ポーランド語、チェコ語、スロバキア語は西スラブ語でローマ字表記なのに、ロシア語は東スラブ語で、キリル文字表記だそうです。ことばは音から始まったからでしょう。

 あと驚いたのは自分が大きな勘違いをしていたことに気づいたことです。この本では言語体系についても触れられていたので、英語とフランス語が違う分類に入っていることに気づいたのです。あんなにフランス語の単語が入っているから英語はフランス語と同じグループに入っていると、学生のときからずっと思いこんでいました。なのに、英語は、ドイツ語、オランダ語、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語と同じ「北欧語」の仲間で、フランス語は、イタリア語、スペイン語、ルーマニア語などと同じ「ロマンス諸語」の仲間だそうです。日常的に使っている英語のことだけに、読み間違いかと思って、ページを行きつ戻りつしてしまいました。

 どうも、1066年にノルマン朝を開いたのがフランス語の方言を話していた集団だったこと、20世紀初頭までは外交言語としてフランス語が強かったことにより、英語にはフランス語の借用語が多いだけのようです。これは、日本語で英語の外来語を多用しているようなものなのでしょうか。長年まちがったことを信じていたわけですが、とりあえず死ぬまでに正しいことを知ったので、よかったことにしたい気分です。
posted by 作楽 at 00:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おひさしぶりです[壁]・_・)ノ

英語・フランス語・イタリア語、そして日本語・・・高校時代、倫理の授業を担当されていた神父さまは、これら4つの言語を使うことができたかただったのでした。

イタリア語を母語とするその神父さまが言うには、「フランス語よりも英語のほうがしっくりくる」のだそうで、(人によるのかもしれないですが)イタリア語との相性は、同じロマンス語族に属するフランス語よりも英語とのほうがよいのかもしれないな・・・と思った次第だったのでした。

ちなみに、その神父さま、私が高校を卒業して数年経った頃、80歳を目前としたお歳で大往生を遂げられたのですが、不思議な雰囲気を漂わせたかたでした。

そんなことを思い出してしまったのでした。
Posted by nadmirer at 2009年07月08日 16:42
nadmirer さん

いつもコメントいただき、ありがとうございます。「不思議な雰囲気を漂わせたかた」という表現から、神父さまの人となりが伝わってくる気がします。

イタリア語が母国語の方がフランス語より英語がしっくり、とおっしゃるなら、やはり言語体系だけでは習得の壁の高さを測れないのかもしれませんね。寂しいことにイタリア語がまったくわからないので、「そうだそうだ」と頷けないのですが、とても参考になる情報、ありがとうございます。
Posted by 作楽 at 2009年07月08日 17:38
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