2009年07月30日

「グリーン革命」


グリーン革命
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書評/社会・政治


 米国や中国などの外国のことも、エネルギー業界の仕組みも、地球温暖化のことも、どれもあまり詳しく知らない読者にもわかるように書かれた本です。逆にいうと、これらに対しある程度の知識があれば、物足りなく感じるかもしれません。ただ、著者の狙いは、環境破壊に対して無関心であったり間違った認識をもっていたりする人に、現実を認識し行動を起こしてもらうことなので、やはりこれだけわかりやすく書く必要があったのだと思います。

 内容としては次のような感じで展開されています。

 まず最初に、地球を救うにはエネルギー構造を根本から変える必要がある。化石燃料を使う量を少しずつ減らすのではなく、再生可能なエネルギーに一挙に切り替えていく必要がある。そのためには、個人が少しずつ努力するのではなく、国家をあげて政策として取り組まなければならない。つまり、再生可能なエネルギーを生み出す技術にブレークスルーを起こせるだけの長期計画を促すだけの期間を設けた優遇政策を掲げ、逆に化石燃料を使い辛く(コストが掛かりすぎる)ようにしなければならない。そのためには、政府を選ぶ立場にある市民ひとりひとりが認識を改め、草の根運動として、政治を動かしていかなければならない。いまの石油業界と政府のつながりを断ち切れるのは、市民にほかならない。わたしたちはいますぐこの問題に向き合わなければ、手遅れになってしまうことを肝に銘じるべきだ。

 上記の理論を支えるさまざまな方面からのデータや意見が集められているだけでなく、実現すべき将来の具体的イメージを読者が思い浮かべられるような工夫もこらされています。

 また、日本人の視点としては、日本とは異なる米国の事情もわかり、興味深いです。たとえば、日本に比べると安いガソリン価格。燃費が悪い車をいつまでも生産し続けたビッグ・スリーのロビイ活動。広大な土地を持つがゆえのインフラ整備上の困難。(それ以上に異なる事情を持つ産油国の事情はさらに、興味深いものでしたが。)

 もう少しコンパクトにまとめてもいいのではないかと思う一方、直接グリーン革命を起こすことに関係がないと思える冗長なことに認識を新たにすることがありました。

 バラク・オバマ大統領のことばです。「21世紀を制するのは、グリーン・テクノロジーとグリーン・エネルギーで主導権を握った国である」これを読んで、その意味がわかったような気がします。
posted by 作楽 at 00:39| Comment(0) | TrackBack(1) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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