2009年08月04日

「The Kid: A True Story」

20090804[TheKid].jpg

Kevin Lewis 著
Michael Joseph Ltd 出版

 タイトルにあるように実話です。子供のころ虐待を受けていた著者がいわゆる普通の暮らしを手に入れるまでを綴ったものです。

 著者の母親は精神薄弱で父親はてんかんを患っていたようです。そのため収入がなく、行政から支給される児童手当に頼っていました。著者の虐待がとうとう明るみに出て、行政の介入により家族と別に暮らすことになったとき、母親は彼の分の児童手当がもうもらえなくなると言い放ちます。それを聞いた子供のころの著者を思うと胸がしめつけられます。

 そこまでの思いをして虐待を逃れ家を離れたにも関わらず、著者はチャンスを最大限活用することができず、さらなる回り道をします。このあたりは、日本では高校生くらいにあたるので、もう少し頭を働かせて頑張るべきではなかったのかと思う場面もあります。

 世の中で本になる実話では、特別な才能に恵まれた人たちや自分ではありえないような凄まじい努力をした人たちばかりが登場する気がします。しかし、この本では、ごく普通の少年が劣悪な環境で育てばこうなるのかも、と思うようなことが次々と起こります。そのどれも誉められたことではないでしょう。子供自身の頑張りがもっとあれば、普通の暮らしはもっと身近だったのかもしれません。でも、もし自分が同じ立場だったとしたら、どの程度頑張れたか疑問です。そう思うと、虐待という問題を見過ごしていけないと感じました。

 日本でも児童虐待が増えている状況を考えると、この問題特有の難しさを知るいい機会でした。
posted by 作楽 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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