2009年08月05日

「石の花 (3) 内乱編」

20090805[IshinoHana-3].jpg

坂口 尚 著
新潮社 出版

石の花 (2) 抵抗編」の続きです。

 主人公クリロの兄イヴァンはユーゴスラビアを裏切りドイツ側のスパイになっていたと明かされていました。しかし、実はイギリスにも通じていて、パルチザン(ユーゴスラビア共産党)に対しイギリスの経済支援を招きいれようとしていることもわかってきました。

 そのほかにも、あちこちに計略があり、それぞれが何を信じ何を目指しているのか見当がつかない状況になってきました。また意外な敵が出現してきたりもします。

 主人公クリロが属するパルチザンは、ドイツ軍から攻撃を受けるだけでなく、ゲリラのチェトニクからも攻撃を受けるようになります。チェトニクはセルビア人なので、内乱です。

 戦争とはこういうことなのか、人々が協調できる基盤のない世界とはこういうものなのか、と思わずにいられない描写が続きます。戦争産業の旨みを利用する者がいる一方、幼い子供たちでさえ容赦なく戦争に巻き込まれ、親を失い信頼できる庇護もなく傷ついていきます。そんな状況では、周囲を倒すことでしか自分を守ることができないように見えてきます。思想が異なるから、人種が違うから、さまざまな理由をもって敵を仕立て、戦っているように見えるのです。共通の敵があるから、味方が味方であるといったような、結果や原因が混然とする世界。

 この物語の最後に救いはあるのでしょうか。
posted by 作楽 at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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