2009年11月04日

「ソーネチカ」

20091104[Sonetika].jpg

リュドミラ ウリツカヤ 著
沼野 恭子 訳
新潮社 出版

 簡単そうに見えて実は難しい生き方が淡々と描かれています。タイトルの「ソーネチカ」はロシア人女性の名前で、この本の主人公です。

 ソーネチカは運命のいたずらともいえる出来事に抗う様子もみせず静かに受け入れ、もてるものに感謝して過ごします。その一方で、周囲の価値観には流されない芯の強さがあります。自分の考えをもつことなく、周囲に委ねる生き方ではないのです。好きな人、愛しく想う人を大切にして、そのためには身を粉にして働くことを厭わないところにもソーネチカの強さがあらわれていえます。

 でも、昔の日本女性のような堪え忍ぶ女性のイメージとも違います。不平不満を表に見せないのではなく、内面から不平不満が湧き起こってこないようなイメージなのです。泥沼になってもおかしくない状況においても、他者をそのまま受け入れているのです。

 そういう女性を淡々と描きひとつの世界をつくり上げた点が、この小説の成功ではないのでしょうか。

 将来の絵を描き、そこから逆算して生きることが正しいように感じてしまう日々ですが、こういう幸福のかたちを求めてもいいのかもしれないという気分が味わえました。実際は、周囲も巻き込んで自分の将来の絵に無理やり合わそうとするほうが、(結果的に自分の絵に自分や周囲を合わせられなかったとしても)日々の暮らし方としては簡単だと思いますが。

 このロシアの作家がどんな方なのか、ロシアでどんな暮らしをなさっているのか、興味が湧きました。
posted by 作楽 at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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