2009年11月10日

「A Touch of Frost」

20091110[ATouchOfFrost].jpg

R.D. Wingfield 著
Sphere Books 出版

 「Frost at Christmas」の続編です。相変わらず、主人公ジャック・フロストの個性が光っていました。

 今回、不運にもフロストの相棒になってしまったのは、ウェブスター。失態で降格になり、フロストのいる署に異動になり、相棒になります。前作の相棒同様、ろくに眠らせてもらえず、ペーパーワークを押し付けられて辟易するウェブスターは、以前はフロストと同じポジションにいただけに、フロストに従う立場にうんざりしている様子。しかし、それが最後の最後に、フロストに一目置くようになります。それが、ウェブスターがフロストに対し、Sirと呼ぶひと言にあらわされていました。そのひと言と同じ重みで、フロストの人柄が滲んでいました。

 そこにたどり着くまで、殺人、連続レイプ、強盗、家出とありとあらゆる事件が起こります。しかも、警察流(?)の事件の重み付けで、担当が変わったり受ける圧力が変わったり、ややこしい出来事を経て、それぞれが並行して進展します。それぞれの事件は別々に見えて実は相互に関係していたり、その逆だったり。関連性を推測するという楽しみは、ひとつの事件だけを追うミステリとは違った味わいがあり、今回も楽しめました。

 しかも、今回はかなりフロストの心情に入り込んでしまう部分がありました。フロストは懇願されて躊躇いながらも、同僚の事件に踏み込みます。しかし、待っていたのは苦い結末。しかも、実はフロストが事件の全容を見抜いていたことが明らかにされ、さらに苦悩の色が見えてきます。もちろん、わたしの仕事に人の生死は関わってきませんが、こういうことってあるんだよな、といった共感を感じてしまいました。

 このシリーズは、謎解きとフロストのキャラクターというバランスのよい二本立ての楽しみのほかに、小さな共感の種が埋まっているところが気に入っています。
posted by 作楽 at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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