2009年12月08日

「騙し絵」


騙し絵
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書評/ミステリ・サスペンス


 クラッシックな雰囲気が魅力的な作品です。

 昔ながらのミステリだと一番感じたのは、「読者への挑戦」という章が設けられ、すべての鍵は読者に提示されていると念押しされている点です。

 次に、エルキュール・ポワロのワトソン役よろしく、探偵役のボブ・スローマンのそばで事件を観察記録する役を果たすシャルル・テルミールが事件を語っている点です。

 そして、盗難に遭う253カラットというダイアモンドは1888年に鉱山から盗まれたものという設定で、後世ではありえない希有な宝が登場する点もどこか懐かしい雰囲気があります。

 実際、この作品は第二次世界大戦終戦期に捕虜収容所で書かれたもので、かなりの年数を経ています。でも、その古さが活かされた、読みやすい翻訳に仕上がっていて、ことばを追う楽しさもありました。

 さて、その希有な宝、253カラットのダイヤモンドは、ヴィクトール=ウジェーヌ・プイヤンジュという実業家の手に渡り、彼の遺言により孫のアリーヌ・プイヤンジュが21歳の誕生日を迎えたときに正式に相続されることになっていました。そして、その1939年の誕生日に、ダイヤモンドは厳戒なる監視のもとで偽物とすり替えられてしまいます。

 すり替えの舞台となった屋敷もまた、古めかしい雰囲気が漂い、楽しめます。個性光る作品でした。
posted by 作楽 at 07:51| Comment(0) | TrackBack(1) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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