2010年01月05日

「毒入りチョコレート事件」

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アントニイ・バークリー (Anthony Berkeley) 著
高橋 泰邦 訳
東京創元社 出版

 有名な古典だとは知らずに読んだのですが、とても満足できました。この小説で一番驚いたのが、犯人特定の案内役をつとめるはずの探偵が6人もいることです。

 事件のあらすじは、本のタイトルどおりです。ある日、ユーステス・ペンファーザー卿がチョコレート会社から試供品を受け取ります。しかし、その毒入りチョコレートを食べたのは、ペンファーザー卿がチョコレートを受け取る場に偶然居合わせたグレアム・ペンディックスと彼の妻ジョウン。夫は2個しか食べず命拾いし、妻は7個食べて落命したのです。

 警察の捜査もむなしく犯人は捕まらず、迷宮入りがほぼ確定したとき、警察は捜査情報を「犯罪研究会」という会の6人に公開することを決めたのです。同じ条件で捜査情報を入手した6人は、それぞれ推理を組み立て、1週間後に順にひとりずつ「犯罪研究会」で推理を披露します。

 もともとは同じ捜査資料から派生する6つの推理。普通の探偵小説が常に単一かつ正しい推論を提示しているのと比べると、なんとも斬新に見えました。しかも、探偵が性別も年齢も個性も異なり、ひとつの事実を重く見るのか軽く見るのかの違いも顕著にあらわれていて、人物描写も同時に楽しめます。

 次はどんな推理が展開されるのか、いよいよこれが本命推理なのかと、犯人を知るプロセスがより楽しめる印象深い一冊でした。
posted by 作楽 at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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