2010年01月21日

「パイは小さな秘密を運ぶ」

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アラン・ブラッドリー (Alan Bradley) 著
古賀 弥生 訳
東京創元社 出版

 主役のキャラクターにひっぱられて読んでしまいました。なんとも個性的な主人公です。年齢11歳、性別女の子、もっとも愛するもの化学。それだけでも目立つ主人公なのですが、そのうえ彼女のユーモアのセンスといったら! 皮肉がきいていて、聡明さが備わっています。思いやりにあふれているかと思えば、報復に血を躍らせる場面もあり、見ていてわくわくします。

 しかも、脇役もしっかり個性的です。主人公のフレーヴィアは三人姉妹の末っ子ですが、長女のフィーリー(オフィーリア)は末っ子相手に手加減もせず挑んできます。事件とも深く関わってくるドガーは、ちょっとやっかいな病を抱えているものの、憎めない相手です。

 ただ、この登場人物を丁寧に忠実に裏切りなく描くというのは、いかがなものでしょうか。登場する人数が少ないうえ、それぞれのキャラクターがきっちり描かれすぎて、犯人が"いかにも"という感じで、自分が犯人だと主張してくるのです、フーダニットなのに。

 そういう欠点はあるものの、読んでいて楽しいのは、人物だけでなく風景描写も気に入ったからです。1950年の英国の雰囲気がとても素敵です。最近読んだ本では、「水時計」から受けた印象と似た感じです。ただ、あちらとは時代設定に50年ほどの開きがありますが。

 この化学大好き少女フレーヴィアシリーズはすでに6巻まで出版されているそうです。シリーズ二作目もすでに日本語版の出版が決まっているようです。
posted by 作楽 at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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