2010年05月25日

「シンクロニシティー」

20100525[Synchronicity].jpg

伊藤 嶺花 著
ワニブックス 出版

 ちょっと狡くない? 思わずそう思ってしまいました。題名にある「シンクロニシティー」というのは、英語のsynchronicityです。研究社の英和大辞典によると「(意味のある関連があるように見えて因果関係は判明しない 2 つ以上の出来事の)同時発生, 同時性, 共時性」だそうで、心理学などで使われることばのようです。

 その「シンクロニシティー」というものを、経験談に空想も入れてわかりやすく説明しようと意図され、小説風に仕上げられたのがこの本です。小説風ということばを選んだのは、わたしのなかではこれを小説と認めるのは抵抗があったからです。そもそも小説は韻などの形式を排除し自由に書かれたものなので定義自体はないのでしょうが、それでもこれを小説と呼ぶのは稚拙な気がして仕方がありません。

 たとえていうなら、反論に備えていない論文のようなものです。具体的な根拠も反対意見に対する反証もないノンフィクションを読む気が起こらないのと似たような感じです。登場人物すべてが諸手をあげてこの「シンクロニシティー」を肯定的にとらえ、ただただ明るい結末で終わるというのは、リアリティがなさ過ぎて、気味が悪かったです。

 ただ、シンクロニシティ自体を否定しているわけではありません。「人生の意味」を読んだときは思い当たることも数多く、そういう考えを素直に受け入れられました。ただ、小説にするというのがあまりいい方法ではないように思えました。ノンフィクションとして書けるだけの内容がなかったのかもしれません。
posted by 作楽 at 07:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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