2010年06月28日

「男の遠吠え」

20100628[OtokonoTouboe].jpg

藤本 義一 著
中央公論社 出版

 奥付によると1985年の出版です。タイトルそのまま、負け犬の遠吠えを思わせる少しばかり切ないエッセイです。昔、男性が社会に出て女性が家庭を守るといった図式が成り立っていた時代、男性はこういう女性を求めていたのだろうと思われる女性像が描かれています。たぶん、当時でさえも無駄だと知りながら苦言を呈するといった趣だったのでしょうが、今読めば、そういう時代もあったと思い出すよすがといった風情です。女性も働いて収入を得なければ子供を育てられない層が圧倒的に増えた今、著者の言うとおりにするから、いまや勝ち組と呼ばれる専業主婦になりたいと思う女性も少なくない気がします。そんな女性たちに向かって、現代なら著者は何を言ったのでしょうか。

 こんな古いエッセイを読む気になったのは、「ツッコミとボケ」というタイトルがあったからです。一部をご紹介します。
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 昔なら、亭主がガンガンいうと、これを軽く聞きながして
「まあ、まあ、いいじゃないのよ」
といっていた女房族が、今では亭主に猛然と噛みつく姿勢をもちはじめたようだ。
 ボケ役じゃ納得できないじゃないのと居直りをみせはじめた結果、笑顔がすっぽりと脱け落ちてしまったようである。
 本来、「ボケ役」は賢明だからやれるわけなのだ。
 それをかなぐり棄てたとなれば、女たちは、自らの賢明さを放棄してしまったということになるのではないか。
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 男性がツッコミで、女性がボケという役割分担になっています。とりわけ、ボケ役は賢明という部分に頷けます。しかし、後半部分については、女性は賢明さを放棄してなどはいなかったように思います。単に振り分ける価値がもっとあると考えるところに振り分けただけなんでしょうけど、自分に振り分けられなくなった途端なくなったと考えるところが、少しばかり切なく感じました。
posted by 作楽 at 07:35| Comment(0) | TrackBack(1) | 和書(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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