2010年08月23日

「上方芸能と文化―都市と笑いと語りと愛」

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木津川 計 著
日本放送出版協会 出版

 明治から平成あたりの上方(関西)の芸能や文化を考察したものです。著者は『上方芸能』という季刊芸能誌の編集長をつとめられたこともあり、関西の文化を芸能面から書かれることになったそうです。

 前半は、関西の文化を宝塚型文化、河内型文化、船場型文化、千里型文化に分類して考察するなど、文楽やお笑いなど関西文化に限定した内容になっていて、興味深い考察が散見されます。

 いままで見過ごしてきたと目から鱗状態になったのは、女をアホに演出したお笑いはなかったということです。庶民から生まれたお笑いの場合、頼りない亭主を支える女房は、周囲の人々に気を配りつつ、家事をこなし、夫の仕事を手伝うという万能ぶりで、かかあ天下といった強さはあっても無能さはありません。この本で指摘されるまで、気づきませんでした。

 また長屋住まいといった庶民ではなく、旦那衆が習い事をして芸能の担い手となっていた有り様など、言われてみればなるほどと思うことがありました。

 ただ、時代を下ってきた最後の部分は、マスメディアの発達などにより、日本のなかの地域性が薄れた時代と重なっているため、特に上方芸能らしさは感じられませんでした。内容的には前半部分がお勧めです。
posted by 作楽 at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(関西) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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