2010年09月22日

「1Q84 BOOK 2」

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村上 春樹 著
新潮社 出版

 本編の語り手のひとりである青豆が人殺しを請け負ったり、もうひとりの語り手である天吾が美人女子高生に芥川賞を受賞させるために陰で作品に手を入れることを請け負ったりしたBOOK 1に比べ、BOOK 2ではファンタジーの色合いが強まっています。とはいっても、それは村上春樹ワールドとも呼べる、空想の世界とも現実の世界ともいえる曖昧さで、夜空にはふたつの月が浮かび、人間とは違う生き物リトル・ピープルが不思議な通路からやってきて、空気から取り出した白い糸で「空気さなぎ」を紡ぎ、その空気さなぎが卵のように割れたら実在する人物のクローンともいえる生体があらわれるといった世界です。

 怪獣が戦ったり、妖精が夢を叶えてくれたりする世界とは違う、微妙な本の向こうの世界に入り込むと、いままで気にもとめなかった何気ないことが揺らいでくる気がします。それは、文中で問いかけられることばに引っかかるからです。

 わたしが引っかかったのは、「本当」と「わかる」。芥川賞を受賞させるべく、天吾が書き直した作品「空気さなぎ」は、「本当に」起こったことなのかと作品の著者であるふかえりに尋ねる場面があります。それに対し、ふかえりは、「ほんとうというのはどういうこと」と問いで答えます。

 また、天吾の父親は「説明しなくてはわからないということは、説明してもわからないということだ」と言ったことがあります。わたしは、その考え方にとても共感できたのですが、そのとき感じたのは、この文中の「わかる」とわたしが日常に使っている「わかる」は違うということでした。

 本当のことと本当ではないことの境はどこにあるのか、自分がわかっていると知覚していることは、本当にわかっていることなのか、この本を読んでいると地面がぐらついているような感覚を受けることがしばしばありました。この不思議な感覚をもう少し味わい気もするので、BOOK 3も読みます。
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