2011年02月01日

「愛おしい骨」

20110201「愛おしい骨」.jpg

キャロル・オコンネル (Carol O'Connell) 著
務台 夏子 訳
東京創元社 出版

 この作家のほかの作品も読んでみたいと思うほど、一気に読まされ楽しませてもらいました。

 町民の全員が知り合いかのような田舎町コヴェントリーに20年ぶりに帰ってきた退役軍人が主人公のミステリです。20年前、主人公の弟は森に出かけたきり帰ってきませんでした。それが20年経って、いまは父親と家政婦だけが住む家にその弟の白骨が少しずつ届けられるようになったのです。

 合衆国軍にいたころは陸軍犯罪捜査部の下級准将だった主人公は自らその事件を調べ始めます。事件当時17歳だった主人公が、捜査経験を得た37歳の目で当時のことを思い出しつつ新たな視点で見ていくのですが、主人公の目を通してみる隣人たちはみな個性的で、ときには狂気の域に達していることもあり、次から次へと疑惑が生まれます。それも、ひとつの疑惑が晴れたことが次の疑惑のもとになって連綿と続くかに思われるような繋がり方で生まれてきます。

 その数々の疑惑にひっぱられ読み進めるうちに、この本のテーマがタイトルにある「愛おしむ」ことにあるのだと徐々に見えてきます。そして、それは世間の誰もが思い浮かべるわかりやすいかたちではなく、歪んでいたり、密やかであったり、裏返しになっていたりと、さまざまなかたちで顕れます。

 ミステリとしても好きですが、小さな田舎町を舞台に幅広い登場人物の個性がぶつかりあうのを舞台の外から眺める愉しみのほうが上回っていました。
posted by 作楽 at 00:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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書籍「愛おしい骨」20年前の殺人事件が新しい事件を呼ぶ
Excerpt: 「愛おしい骨」★★★☆ キャロル・オコンネル著 , 創元推理文庫、2010/9/11 ( 522ページ , 1,260 ) <リンク:<table border="0" cellpadding="0" cellspacing="0">【送料無料】愛おしい骨価格:1,260円(税込、送料別)..</table>
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Tracked: 2011-03-23 14:49