2011年02月10日

「ぼくと1ルピーの神様」

20110210「ぼくと1ルピーの神様」.jpg

ヴィカス スワラップ (Vikas Swarup) 著
子安 亜弥 訳
武田ランダムハウスジャパン 出版

 意外にも読後感爽やかな作品でした。

「意外にも」というのは、18歳の少年のかなり悲惨な生い立ちが語られているためです。でもその悲惨さと対照を為すかのように、少年自身は明るさをまとっています。何が起ころうともとりあえず受け入れ、自分ができることをする、という芯の強さと機転を駆使した逞しさが生む明るさです。

 物語は、その少年がクイズ番組で十億ルピーを勝ち取りながらも不正を働いたに違いないと警察に連行され、拷問のさなか颯爽とあらわれた見ず知らずの女性弁護士に釈放してもらうところから始まります。この始まり部分だけで、頂上(十億ルピー)を見たかと思えば、どん底(拷問)に落とされ、とりあえず平地(釈放)に戻たもののどん底の危機は去ってくれないというジェットコースターぶりです。しかし、それはほんの序章にしか過ぎません。

 ジェットコースターから見えるのは、宗教問題だったり、格差問題だったり、人身売買問題だったり、普段はわたしにとって馴染みのないインドという国のできごとですが、なぜかそこはかとなく感じる主人公の明るさに助けられて、一気に読めます。

 知らない世界を見せてくれ、現実的ではなくともリアリティをもって夢を叶えてくれる本だと思います。
posted by 作楽 at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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