2011年04月20日

「コルシア書店の仲間たち」

20110420「コルシア書店の仲間たち」.jpg

須賀 敦子 著
文藝春秋 出版

 タイトルにあるコルシア書店というのは正式には「コルシア・デイ・セルヴィ書店」といって、「セルヴィ修道院まえの大通り書店」という意味だそうです。古くからある通りのようで、19世紀に活躍したアレッサンドロ・マンゾーニという文豪が書いた「いいなづけ」という作品に登場すると書かれてありました。

 コルシア書店は、著者須賀敦子氏がイタリア滞在中に深く関わった店で、およそ20年営業したあとに場所を移し、店名も「タディーノ街書店」と変わったそうです。

 この本では、著者が1950年代後半にイタリア留学した以降、コルシア書店がその名を変えるまでを中心に、書店を介して知り合ったイタリアの人々との交流が綴られています。著者の鋭い観察と新鮮な描写を愉しめました。

 興味を惹かれたのは、あまり馴染みのないイタリアという土地であるということ以外にも、著者が出会った人々の層が幅広かったこと、それぞれの人の「らしさ」がもっとも顕れるエピソードが慎重に選ばれていることなどが理由でしょう。

 貴族社会との交流もあれば、理想に燃える詩人と対面したときのときめきもあります。かと思えば、同じ詩人のことを冷ややかに観察してみせる場面もあります。また、どんな仕事も続かない黒人労働者の口癖を真似てみたりもしています。まるで色とりどりのビー玉を眺めているかのような愉しさがあり、丁寧に選ばれたであろう言葉を堪能しました。
posted by 作楽 at 07:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック